1993 年 67 巻 8 号 p. 724-729
エンテロトキシン産生性Clostridium perfringensの同定をエンテロトキシンをコードしている遺伝子の一部をpolymerase chain reaction (PCR) を用いて増幅することにより行った. 当施設保有のClostridium perfingens参考菌株5株を用いたPCRでは, エンテロトキシン産生性の4株はすべてPCR陽性で, エンテロトキシン陰性の1株はPCR陰性であった. C. perfringens以外のClostridium属参考菌株16菌株, 17株ではPCRはすべて陰性であった. 日本, 韓国およびタイで分離されたC. Perfringens 85株においてはエンテロトキシン陽性の3株はすべてPCR陽性で, エンテロトキシン陰性の82株はすべてPCR陰性であった. C. perfringensエンテロトキシンgeneのinitiationcodonをはさむ領域のPCRにより, 同様の実験を行ったところ, PCRの結果とエンテロトキシン産生性の結果はまったく一致した.以上の成績より, PCRは芽胞を形成させエンテロトキシンを産生させるための特殊な培養を行うことなく, 迅速・簡便にエンテロトキシン産生性C. Perfringensを同定できる方法であると思われた.