感染症学雑誌
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67 巻, 8 号
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  • 第一報: 細菌性肺炎において
    竹内 章治, 澤木 政好, 三笠 桂一, 古西 満, 前田 光一, 坂本 正洋, 濱田 薫, 国松 幹和, 成田 亘啓, 喜多 英二, 樫葉 ...
    1993 年 67 巻 8 号 p. 697-703
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    細菌性肺炎症例12例について化学療法施行前, 施行中, 施行後に好中球機能検査の一つとして化学発光 (chemiluminescence, 以下CL) を測定し, 推移を検討した.
    1) 化学療法施行前のCL-indexは対照に比べ高値6例, 低値6例であった.
    2) 化学療法施行前に比べ11症例で化学療法施行中にCL-indexの低下がみられた.
    3) 化学療法施行中に比べ9症例で化学療法施行後にCL-indexの上昇がみられた.
    4) CL-indexと末梢血中好中球数 (N) の積 (CL-index・N) は9症例で化学療法施行前に高値を示し, 感染症の改善と共に低下した.
  • 田代 隆良, 永井 寛之, 山崎 透, 後藤 陽一郎, 秋月 真一郎, 那須 勝
    1993 年 67 巻 8 号 p. 704-711
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    最近, Trichcsporcn beigelii (cutaneum) による日和見感染が増加している. 大分医科大学第2内科において死後, 肺穿刺液および心腔内血液培養を施行した313例中7例 (2.24%) からT. beigelii が分離され, 組織学的, 臨床的にうち5例がトリコスポロン感染症と診断された. 分離された T. beigeliiをウサギに免疫して得られた抗体を用いて, 過去の深在性真菌症の免疫組織染色を行ったところ7例が陽性であった. うち6例はこれまでカンジダ症あるいはカンジダとアスペルギルスの重複感染症と診断されており, 本症の組織学的診断の困難性と抗トリコスポロン抗体を用いた免疫組織染色の有用性が示された.
    菌学的, 免疫組織化学的に診断された自験9例を含む本邦報告43例の集計では, 基礎疾患として急性骨髄性白血病などの血液疾患が37例 (86%) を占め, 強力な抗癌化学療法により好中球減少を認める症例に好発していた. アムホテリシンBに抵抗性の症例が多く, 致命率は88%と極めて高かった. Immunocompromised hostの増加とともに播種性トリコスポロン感染症は今後増加することが予想され, 発症予防と早期診断および治療法の確立が望まれる.
  • 三鴨 廣繁, 和泉 孝治, 伊藤 邦彦, 玉舎 輝彦, 渡辺 邦友, 上野 一恵
    1993 年 67 巻 8 号 p. 712-717
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Certain bacteria produce some carcinogens such as N-nitro compounds, n-butyric acid and n-valeric acid.
    From this point of view, the examination of intrauterine bacterial flora in patients with uterine endometrial cancer may provide important information.
    Twenty patients with the diagnosis of uterine endometrial cancer and 20 patients without complications other than myoma uteri were enrolled in the study. Enterobacteriaceae, Streptococcus agalactiae and anaerobic bacteria were mainly detected.
    The products of these bacteria might be considered to contribute to the initiation of endometrial carcinogenesis.
    Mixed abnormal flora between aerobic and anaerobic bacteria were detected in all patients with uterine endometrial cancer. It is suggested that uterine endometrial cancer provides favorable conditions for bacterial growth. Mixed abnormal bacterial flora also might influence the onset and growth of uterine endometrial cancer.
  • 田辺 一郎, 草場 耕二, 永沢 善三, 田島 裕, 只野 壽太郎, 藤澤 伸光, 加藤 収, 山田 穂積
    1993 年 67 巻 8 号 p. 718-723
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    近年β-ラクタム剤耐性肺炎球菌 (Streptococcus pneumoniae) が全国的に増加し注目を浴びている. 我々は佐賀医科大学附属病院で, 1988年4月より1991年12月までの間に各種臨床材料から分離された肺炎球菌の薬剤感受性について検討を行った.
    薬剤感受性試験は日本化学療法学会の方法に準じ, 微量液体希釈法により行いMICを求めた. 耐性度の判定はampicillin (ABPC) のMICによって行い, 感受性: ≦0.1μg/ml, 中等度耐性: 0.2~3.13μg/ml, 高度耐性: ≧6.25μg/mlとして大別し, 一患者一株として集計した. その結果, 1988年 (94株) と90年 (115株) はABPCに高度耐性の肺炎球菌はみられなかったが, 89年は129株中1株 (0.8%), 91年は84株中2株 (2.4%) の高度耐性株が分離された. さらに, 中等度耐性株の98年から91年までの各年度毎の分離頻度はそれぞれ12.8%, 15.5%, 22.6%, 21.4%であった. 91年度は, 高度耐性株の分離頻度2.4%も合わせれば23.8%となり, 耐性菌全体の分離頻度は毎年増加傾向を示し, また耐性の程度も年々高度化している.
  • 加藤 直樹, Shin-Moo KIM, 加藤 はる, 田中 香お里, 渡辺 邦友, 上野 一恵, Yongsop CHONG
    1993 年 67 巻 8 号 p. 724-729
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    エンテロトキシン産生性Clostridium perfringensの同定をエンテロトキシンをコードしている遺伝子の一部をpolymerase chain reaction (PCR) を用いて増幅することにより行った. 当施設保有のClostridium perfingens参考菌株5株を用いたPCRでは, エンテロトキシン産生性の4株はすべてPCR陽性で, エンテロトキシン陰性の1株はPCR陰性であった. C. perfringens以外のClostridium属参考菌株16菌株, 17株ではPCRはすべて陰性であった. 日本, 韓国およびタイで分離されたC. Perfringens 85株においてはエンテロトキシン陽性の3株はすべてPCR陽性で, エンテロトキシン陰性の82株はすべてPCR陰性であった. C. perfringensエンテロトキシンgeneのinitiationcodonをはさむ領域のPCRにより, 同様の実験を行ったところ, PCRの結果とエンテロトキシン産生性の結果はまったく一致した.以上の成績より, PCRは芽胞を形成させエンテロトキシンを産生させるための特殊な培養を行うことなく, 迅速・簡便にエンテロトキシン産生性C. Perfringensを同定できる方法であると思われた.
  • 中島 夏樹, 箕原 豊, 五島 文恵, 有本 寛, 加久 浩文, 五島 敏郎, 加藤 達夫, 深澤 糾, 浅野 泰弘, 山内 寿靖, 小山 ...
    1993 年 67 巻 8 号 p. 730-735
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    感度が良く, 手技が簡便なIAHA (immune adherence hemagglutination) 法で, 水痘抗体の測定を行い, 各反応条件について検討し, CF法, IFA法, ELISA法と比較検討した. IAHA法は, 微研法に準じて行った. ヒト0型赤血球は, 試みた5名の志願者全員が, 使用可能であった. 補体は, モルモット血清を使用した. 抗原抗体反応温度は37℃ が至適であり, また血清の非働化も必須と思われた. 他法の結果と比較すると, IAHA法は, IFA法, ELISA法と同程度, CF法の2~4倍高い感度を示し, それらとの陽性, 陰性一致率も良好であった. また, 水痘ワクチン接種前後の検体でみた, 各検査法による抗体陽転率は, CF法で76.0%, IFA法で56.0%, ELISA法で100%であったのに対し, IAHA法は, 100%であった. このように, IAHA法による水痘抗体測定は, 手技が簡便で, 特別な器具を必要とせず, また感度, 特異性も良好で, 一般の検査室で充分測定可能な, 優れた検査法と思われた.
  • 関矢 加智子, 檀原 宏文, 二重作 豊
    1993 年 67 巻 8 号 p. 736-740
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    ストレプトリジンO (SLO) による溶血機構の解明を目的として, SLOにより形成されたリング構造のネガティブ染色像を透過電顕観察した. 赤血球膜上に形成されたリングの内径は24nm, 幅4.9nm, 外径34nmであった. リングを横から見た際に, リングの上に冠状の構造が観察された. 冠状構造は, 三層からなり, 上部から, 冠部の明帯3.2nm, 暗帯1-6nm, 赤血球膜内5.0nmの幅であった. 予め溶血した赤血球ゴースト膜を用いた際に, 生体膜を伴わないSLOリングが観察された. また, その不足焦点像から, 内側リングとそれに結合して, 22~24個の放射状に並んだリングによる二重構造が観察された. 膜上の正焦点像の画像解析結果からも, 二重構造が確認出来, 内外リングを構成するそれぞれのSLO分子が, 22~24のペアによる44~48分子で1つの0状リングが形成されることが示された.
  • 新垣 正夫, 伊藤 武, 工藤 泰雄
    1993 年 67 巻 8 号 p. 741-746
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pyloriの産生するウレアーゼの病原的役割を解明する手がかりとして, H. pyloriの菌体から抽出し, 精製した高純度のウレアーゼを用いて培養細胞に対する細胞毒性について検討を行った.
    Vero, HeLa, Intestin 407の各細胞培養液に尿素 (30mM) と精製ウレアーゼを添加すると, 反応10分後にはアンモニアが生成され, pHの急激な上昇がみられた. 反応80分後には各細胞とも球形変化を起こし, 細胞変性が認められた. タチナタ豆由来のウレアーゼによっても同様な細胞変性がみられた.
    Vero細胞にアンモニア水 (アンモニア濃度2.5μ1) を作用させた場合, 残留アンモニアが測定されるとともに, pH10.5に上昇し, 細胞の球形化が観察された.
    以上のことから, ウレアーゼの尿素存在下での培養細胞障害作用は尿素の分解により生成したアンモニアによるものであると推察された.
  • 川島 崇, 竹本 淳紀, 塚田 弘樹, 長谷川 隆志, 和田 光一, 荒川 正昭
    1993 年 67 巻 8 号 p. 747-752
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    ラットの空気嚢型炎症モデルは, 炎症を定量的に評価しうる点で優れており, 炎症メディエーターの解析ならびに抗炎症薬の評価系として用いられている. 今回, 私達は, この系が感染実験系として使用出来るか否かを検討した. その結果, 一定量のStaphylococcus aureus (S. aureus) 菌液 (104~108/ml) の注入により, 炎症を惹起出来た. また, 菌量に応-じて, 浸出液量や浸出細胞数に差が認められた. 浸出細胞の主体は好中球であった. 本実験感染症モデルは, 菌の増殖のみでなく, それに対する生体の反応に関しても, 空気嚢内液量や浸出細胞数によって, 炎症の程度を経時的, 定量的に評価することが可能であり, 有用であると思われた.本実験系では, S. aureus Smith株と臨床分離メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 2株間では, 生菌数の変化, 浸出細胞数, 浸出液量に差は見られず, MRSAとMSSAの炎症惹起能に差はないと考えられた.
  • 塚本 定三, 竹田 美文
    1993 年 67 巻 8 号 p. 753-757
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    下痢症患者および健康者から分離した大腸菌の保存株について, 拡散性の腸管付着性大腸菌の検出を, HeLa細胞への拡散性付着を観察することにより同定し, それについて血清型別を実施した. ブラジルの小児下痢症患者126名 (384株) のうち16名 (23株), 健康小児126名 (348株) のうち26名 (29株) から拡散性の腸管付着性大腸菌を検出し, 検出率はおのおの12.7%, 20.6%であった. ミャンマーでは小児下痢症患者221名 (542株) のうち15名 (18株), 健康小児87名 (212株) のうち4名 (4株) から検出し, 検出率は6.8%, 4.6%であった. 大阪府下の下痢症患者からは123名 (198株) のうち7名 (7株) で, 5.7%の検出率であった. 下痢症患者と健康者の検出成績の比較で, 拡散性の腸管付着性大腸菌の病原性を明らかにすることはできなかった.
    拡散性付着を示した大腸菌70株のうち, 44株 (62.9%) が19種類のO血清群, 22種類のO: H血清型に型別できた. 比較的検出頻度の高いものはO11: H15 (4株), O11: H-(5株), O20: H34 (3株), O21: H5 (5株), O89 H-(3株), O99: H33 (3株), O154: H45 (3株) などであった. H型についてはすべての株が型別できたが, そのなかでもH-が26株で圧倒的に多かった. また, 腸管病原性大腸菌のO血清群に属するものは, O127の1株のみであったことから, 拡散性の腸管付着性大腸菌と腸管病原性大腸菌との関連性は薄いものと思われる.
  • 従来法との比較検討
    佐藤 隆
    1993 年 67 巻 8 号 p. 758-766
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    ハイパック (sodium diatrizoate) 単一密度遠心法またはMgCl2処理によってTreponema pallidum subsp. pallidum (Tp) 抗原を精製した. 粗製抗原及び精製抗原を用いたTrepomma pallidum hemagglutination (TPHA) の初期梅毒患者血清に対する感度を比較したところ, MgCl2精製抗原はハイパック精製抗原と同程度の抗Tp-IgM抗体に対する感度を示し, MgCl2による精製の有用性が確認された. 更にハイパック精製抗原を用いたsolid phase hemadsorption (SPHA) で初期梅毒及び二期梅毒患者血清中の抗Tp-IgM抗体を測定したところ, 粗製抗原では59%(27/46) が陽性を示したのに対し, 精製抗原では100%(46/46) が陽性を示し, 抗原精製により明らかに抗TP-IgM抗体検出感度が上昇した. また, 精製抗原を用いたcaptured Tp-lgM-radioimmunoassay (RIA) では, 16例の初期梅毒及び31例の二期梅毒に対していずれも100%の陽性率を示し, 一方73例の充分な治療後の陳旧性晩期潜伏梅毒に対しては総て陰性を示した. 抗原精製による抗Tp-IgMに対する感度上昇のメカニズム解明のために, 精製前後のTp菌体上の宿主由来抗体を蛍光抗体法で比較測定したところ, 粗製抗原の菌体表面には多量のウサギ由来抗Tp-lgMが検出されたが, 精製抗原では微量であった. 以上より, 粗製Tp標品においては, 菌体表面へ結合したウサギ抗Tp-IgM抗体により抗原がマスクされていること, そしてこれが精製過程で他の來雑蛋白と共に除去された結果, 抗原がヒト抗Tp-IgM抗体に強く反応するようになったものと考えられた.
  • 吉田 正樹, 吉川 晃司, 前澤 浩美, 進藤 奈邦子, 坂本 光男, 中澤 靖, 柴 孝也, 斎藤 篤, 酒井 紀
    1993 年 67 巻 8 号 p. 767-771
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    A 24-year-old male with chronic renal failure on Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis (CAPD) complained of cough and dyspnea. Chest X-ray film showed a pneumonia shadow and MRSA and Candida krusei were detected in the sputum. Pneumonia improved with vancomycin and fluconazole. Treatment with methylpredonisolon was needed for retinodialysis.After this treatment, pneumonia deteriortated. Pneumonia did not improve with vancomycin and anti-fungal agents. This severe pneumonia was improved with a combination therapy of vancomycin, miconazole and G-CSF. A combination therapy of antibiotics and G-CSF is considered to be effective for severe pneumonia.
  • 寺田 総一郎, 根ケ山 清, 河西 浩一
    1993 年 67 巻 8 号 p. 772-773
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • 松井 勝彦, 新井 俊彦
    1993 年 67 巻 8 号 p. 774-775
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 67 巻 8 号 p. 779
    発行日: 1993年
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
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