感染症学雑誌
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原発性肺癌に合併した閉塞性肺炎の臨床的検討
宮本 潤子古賀 宏延河野 茂平 和茂朝野 和典賀来 満夫原 耕平
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1994 年 68 巻 6 号 p. 728-733

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抄録

原発性肺癌に合併した閉塞性肺炎19例について臨床的検討を行い, 以下の結果を得た. 1) 平均年齢は64歳で, 全症例が男性で喫煙歴を有していた. 2) 発熱は95%, 白血球増多は41%, 好中球増多は69%, CRPは全例が陽性であった. 3) 中枢側肺癌では13.2%(16/121), 末梢側肺癌では1.7%(2/115) に閉塞性肺炎がみられた. 組織型別では腺癌5.2%(6/116), 扁平上皮癌7.6%(6/79), 小細胞癌15.6%(5/32), 大細胞癌9.1%(1/11) であった. また, 扁平上皮癌では1期でも13.0%に閉塞性肺炎を発症しているのに対し, 腺癌ではII期以上, 小細胞癌ではIIIB期以上での発症率が高かった.4) 閉塞性肺炎の発症時期は, 発見時が48%, 入院加療中と末期がそれぞれ26%であった. 5) 胸部X線上, 大葉性肺炎を呈したのは42%(8/19), 胸水が存在したのは11%(2/19) であった. 6) 起炎菌はグラム陰性菌が50%と最も多く, グラム陽性菌が10%で, 残りの40%は起炎菌不明であった. 7) 有効であった抗菌薬はペニシリン系と第三世代セフェム系, 合わせて6エピソードで, 多くの抗菌薬は分離菌に対して良好な抗菌活性を示したものの臨床的には無効であった. 8) 閉塞性肺炎の予後はperformancestatus, 血清総蛋白量, コリンエステラーゼ値に大きく影響を受けた.

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