感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
経気管吸引法によるHaemephilus influengae急性呼吸器感染症の臨床的検討
辻本 正之澤木 政好三笠 桂一古西 満濱田 薫前田 光一坂本 正洋寺本 正治森 啓成田 亘啓喜多 英二増谷 喬之佐野 麗子
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 70 巻 8 号 p. 808-814

詳細
抄録

経気管吸引法 (以下TTA) を施行しHaemophilus influenzae (以下H.influenzae) を検出した症例で, 明らかな慢性下気道感染症の病歴を有しない急性呼吸・器感染症症例26例27回の臨床的検討を行った.
気管支炎症例が14例15回 (院内10回, 院外5回, 単独検出6例7回, 複数菌検出8例8回), 肺炎症例が12例12回 (院内7回, 院外5回, 単独検出1例1回, 複数菌検出11例11回) で肺炎症例に有意に複数菌検出例が多かった.気管支炎症例では同時検出菌は, α-Streptococcusが多く, 肺炎症例ではNeisera, S.Pneumoniae, Momxellaが多かった.
平均年齢は単独菌検出例59.4±10.8歳, 複数菌検出例72.1±8.1歳で, 高齢者に複数菌検出が有意に多かった.肺炎症例では気管支炎症例に比較して高体温, 末梢血白血球数・CRP高値の傾向が認められた.複数菌検出症例では単独検出例に比較して, PaO2低値, CRP高値, 高体温の傾向が認められた.気管支炎症例中での比較では複数菌検出例で有意にPaO2低値であり, CRPが高値の傾向が認められた.予後との関連では肺炎症例で, 高齢で複数菌検出例で1例死亡した他は全例改善が認められたが, 肺炎症例, 複数菌症検出例に治療期間が長い傾向が認められた.

著者関連情報
© 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top