1997 年 71 巻 3 号 p. 222-228
著者らが経験した21例のadult T-cell leukemia (ATL) 剖検例のうち11例 (52, 4%) にcytomegalovirus (CMV) 感染症を認めた. 11例中7例 (63.6%) は3臓器以上の多臓器感染であった. 臓器別では, 肺11例 (100%), 副腎8例 (72.7%), 食道4例 (36.4%), 胃, 小腸, 膀胱各3例 (27.3%) などの順に感染病巣が認められ, 特に肺感染11例中5例, 小腸感染3例中2例, 副腎感染8例中1例は病理組織学的に死因となりうる重篤な病変が認められた. 以上の結果と臨床経過より, CMV感染症は11例中8例 (72.7%) が死因に関与しており, このうち5例 (45.5%) は直接死因であると判断した.