感染症学雑誌
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小児のA型およびB型インフルエンザに対するoseltamivirの効果
三田村 敬子菅谷 憲夫韮沢 真理新庄 正宜武内 可尚
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2002 年 76 巻 11 号 p. 946-952

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抄録

2001/2002年のインフルエンザ流行時に, インフルエンザ迅速診断が陽性の小児インフルエンザ患者に, oseltamivirを投与してその有効性を熱型から検討した. oseltamivirはカプセル剤から散剤を作製し, 1回量2mg/kgで1日2回, 5日間投与した. 発症してから2日以内に来院した小児のインフルエンザ患者131例 (平均年齢5.8±3.6歳, 範囲0.8~14歳) に, oseltamivirを投与すると, 翌日には44%の患者が37.5度未満に下熱し, 2日後には86%の患者が下熱することが明らかになった. 投与開始から下熱までの日数は, 平均で1.7日であった. oseltamivirの下熱効果には, A型とB型インフルエンザ患者の間で有意差はなく, A型のみならず, B型インフルエンザにも同程度に有効であった. oseltamivirの有効性について, 3歳以下の幼児と学童で比較したが, 下熱効果には両群で差はみられず, 低年齢層でも高い効果があることが明らかとなった. oseltamivirの投与により, 一部で嘔吐や下痢を認めたが投薬を中断した例はなかった.

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