感染症学雑誌
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下痢症患者から分離されたcefotaxime耐性志賀毒素産生性大腸菌O26: H11について
近 真理奈倉園 貴至大島 まり子山口 正則森田 耕司渡辺 登金森 政人松下 秀
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2005 年 79 巻 3 号 p. 161-168

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抄録

下痢症患者の便から第三世代セフェム系薬剤cefotaxime (CTX) 耐性の志賀毒素産生性大腸菌 (STEC) O26: H11 (stxl産生) がわが国で初めて分離された.本患者は17歳女性で, 2003年9月水様性下痢, 発熱, 腹痛を呈し, 検便にてSTEC O26: H11 (EC03059株) が分離され, FOM5日間服用後に再び同一菌と考えられるSTEC O26: H11 (EC03060株) が分離された。しかし, ECO3059株はSM, TC, ABPC3剤耐性であったが, EC03060株はそれら3剤に加え, CTX, KM, FOMの計6剤に耐性であった.
EC03060株については, CTX耐性機序を検討した結果, クラスAに由来するextended-spectrum β-lactamase産生菌の表現型の特徴を示した.さらに, PCRによる遺伝子検出及び塩基配列解析の結果, CTX-M-3型遺伝子を保有していた.プラスミドプロファイルでは, EC0345-株はEC03059株に約85kbpのプラスミド1本が付加されていた.接合伝達試験の結果, EC03060株のこのRプラスミド上にCTXM-3型遺伝子が存在し, レシピエントに用いた大腸菌に接合伝達されることが証明された.

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