抄録
症例は25歳女性. 肝機能障害を指摘された既往はない. 原因不明の劇症肝炎を発症し当院紹介受診となった. 血漿交換を繰り返すも検査所見, 肝性脳症の改善なく, 生体肝移植を施行した. 術後, 肝組織銅含有量より原疾患はWilson病であると診断した. 我々の検索しえた限り, 25歳の本例は劇症肝炎で発症したWilson病としては本邦最高齢であり, 成人の原因不明の劇症肝炎でもWilson病は鑑別診断として考えるべき疾患と考えられた. また, 劇症肝炎を起こすWilson病では, ALP/T-bil比, AST/ALT比が他の原因による劇症肝炎との鑑別に有効であり, さらに尿中銅, 肝組織銅含有量により確定診断に至るものと考えられた. 現在では, 遺伝子検査によってWilson病の診断が可能であり, 本症例でも現在検査中である.