2005 年 46 巻 6 号 p. 317-321
血液浄化療法の進歩と肝移植の導入によって, 劇症肝炎に対する治療法は新たな展開を迎えている. 肝移植については, 国内において緊急肝移植として選び得る術式は生体肝移植にほぼ限られている現状にある. その診療にあたる医療スタッフは, 肝移植への適応と禁忌を見きわめ, 病状の進行を最小限にとどめるための努力をしながら, ドナー候補者を含めた患者家族とのインフォームド・コンセントと術前準備を行う必要がある. 本稿では, これらの点について述べるとともに, 国内外での肝移植成績について記述した. 可及的早期からの移植施設との連携は, 肝移植による救命のために重要である.