肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
肝移植の現況と今後の課題
5. 肝硬変に対する肝移植―ウイルス性肝硬変を中心に
菅原 寧彦幕内 雅敏
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 46 巻 6 号 p. 322-326

詳細
抄録

2004年1月より生体肝移植の保険適応疾患が拡大され, 成人症例での肝移植の需要が増加してきている. 特に, 肝炎ウイルスを背景とした肝硬変症例の増加が著しい. 肝炎症例では, 術後のウイルス制御が大きな課題となっている. B型肝炎再感染対策においてはまず, 移植前に, ラミブジンの内服を始め, 血液中B型肝炎ウイルスDNAを陰性化させておくことが肝要である. 術後の再感染予防は, 抗B型肝炎ウイルス免疫グロブリンの多量投与とラミブジンの併用療法が標準治療となっている. 一方, C型肝炎では問題点が多い. 再発症例に対してはペグインターフェロンとリバビリンとの併用を行う. ただし, 併用療法は副作用が強く, 移植前投与は一般的でない. また持続陰性化率が低いことから, 術後投与や予防投与に関してはコンセンサスが得られていない.

著者関連情報
© 2005 一般社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top