2005 年 46 巻 6 号 p. 352-358
自己免疫性肝炎 (AIH) と特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) を同時に発症した高齢男性例を経験した. 病勢と抗スルファチド抗体価とが相関し, 興味深い症例と考え報告する. 症例は67歳, 男性. 以前より軽度のγ-GTP上昇を指摘されていたが肝障害および血小板減少が出現し入院. 血小板の著減と肝障害を呈し, PAIgGは高値を示した. 骨髄は過形成性骨髄であり, ITPと診断. プレドニゾロンの投与を開始した. 肝生検標本組織所見は, 自己免疫性肝炎に合致していた. AIHとITPの発症時期, 疾病活動性の変動は一致しており, 抗スルファチド抗体の変動と相関が認められた. 両疾患の発症および病勢の変動に, スルファチドに対する免疫応答が関与していることが示唆された.