肝臓
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症例報告
イノシシ肉の摂食あるいは調理行為によって感染した疑いのある主婦に発生した急性E型肝炎の1例
井上 学道堯 浩二郎高橋 和明安倍 夏生岡 清仁布井 弘明上田 晃久島瀬 公一日浅 陽一堀池 典生三代 俊治恩地 森一
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2006 年 47 巻 10 号 p. 459-464

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抄録

症例は,54歳の女性.全身倦怠感と黄疸と肝機能異常(T.Bil 2.9mg/dl, AST 1143IU/l, ALT 1767IU/l, γ-GTP 158U/l)により急性肝炎と診断.入院後,安静のみで経過観察し,劇症化,遷延化することなく軽快退院した.海外渡航歴,薬剤服用歴はなく,A, B, C型肝炎ウイルスマーカー陰性,抗核抗体陰性.発症1カ月前にイノシシ肉を摂取していたため,E型肝炎ウイルス(HEV)マーカーを測定したところ,IgM型HEV抗体及びHEV-RNAが陽性であり,急性E型肝炎と診断した.HEV genotypeは3型であった.当初はイノシシ肉の摂食による感染が疑われたが,調理行為により感染した可能性も考えられた.海外渡航歴のない国内発症の急性E型肝炎としては,本例が四国からの初報告例となる.

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© 2006 一般社団法人 日本肝臓学会
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