抄録
症例は40歳代,男性.5年前に肺炎の既往あり.20歳代にHBsAg陽性を指摘されたが,その後の毎年の検診では肝機能異常の指摘は無かった.2005年10月初旬より倦怠感出現.その後,家族に黄疸を指摘され,近医受診.急性肝炎として,当院紹介入院となる.経過,血液所見よりHBV(subgenotype Ae)キャリアから急性発症した肝障害であり,更に悪化する可能性が高いと判断し,翌日よりlamivudine内服,ステロイドパルス療法を施行した.その後,肝機能は改善傾向にあったものの,第23病日より,38C°以上の発熱・咳嗽が出現し,胸部レントゲン写真で肺炎像を認め,急性肺炎と診断した.抗生剤投与を開始したが,肺炎像は改善せず呼吸状態は悪化し,呼吸不全を呈した.反復する肺炎から,何らかの免疫不全の存在を疑い,HIV抗体検査を施行したところ,陽性であった.Acquired Immunodeficiency Syndrome(AIDS)と診断し,ガンシクロビル,ST合剤を投与し,人工呼吸器管理としたが,全身状態は徐々に悪化し,第28病日に永眠された.HIV感染経路としては十数年前に外国人異性との交際歴があり,その際の性行為感染が疑われた.また,慢性キャリアであったHBV(subgenotype Ae)の感染経路に関しても,HIVとほぼ同時期の感染の可能性が高いと考えられた.