抄録
肝細胞癌(HCC)術後の胸壁・縦隔転移に放射線治療(RT)が奏効した2症例を経験した.症例1:70歳男性.Vp2の門脈内腫瘍栓(PVTT)を有するHCCに拡大肝前区域切除を施行した.術後6カ月目に縦隔リンパ節再発を認め,RTを施行し縮小を認めた.照射後1年以上にわたり転移リンパ節の縮小を維持した.患者は術後32カ月目に脳転移のため死亡した.症例2:74歳男性.Vp3のPVTTを有するHCCに拡大肝左葉切除を施行した.術後10カ月目に前縦隔転移を認め切除した.その後,右前胸壁皮下に転移を繰り返すも,その都度RTを施行し良好な局所制御が得られており,初回術後3年の現在生存中である.骨転移を除いたHCCの肝外転移に対する放射線治療の報告は極めて希少であり,文献的考察を加えて報告する.