抄録
症例は69歳男性,多発性肝細胞癌(HCC)と診断され紹介入院となった.肝炎ウイルスマーカーはHBc抗体陽性,腫瘍マーカーはPIVKAII高値であった.動注CT検査で正常肝実質に比較し,各々異なった血流動態を有した4結節病変を認めた.4結節中1結節のみが肝動脈造影で腫瘍濃染像を呈し,その動脈性門脈造影下CT(CTAP)像は低吸収,肝動脈造影下CT(CTHA)像は高吸収であった.腫瘍濃染像を呈しない3結節の動注CT所見は,各々CTAP低吸収CTHA等吸収,CTAPとCTHA共に低吸収,CTAPとCTHA共にほぼ等吸収であった.これら3結節に対して針生検検査を施行し,各々,高分化∼中分化相当,脂肪化を伴う高分化型,高分化型HCCと病理診断した.免疫染色像でも各3結節は筋性動脈性腫瘍血管と類洞の毛細血管化の発達程度に差異が観察された.動注CT所見と針生検組織所見で,肝硬変に生じた4結節を同時性多中心性発生HCCと診断した1例であった.