抄録
【背景】anti-retroviral therapyにより,HIV/HCV重複感染者の死亡の原因として,HCVによる肝疾患の割合増加に加え,非硬変性門脈圧亢進症の報告が増えている.【目的】本邦での血液製剤によるHIV/HCV重複感染者での門脈圧亢進症の実態を検証し,肝移植適応の再評価を考える.【方法】国内HIV診療主要4施設での血液製剤によるHIV/HCV重複感染者でChild分類Aの184例のデータを解析し,門脈圧亢進症の指標としての血小板数で生存率を比較した.【結果】HIV/HCV重複感染患者内では,血小板数数15万/μLの分類にて患者生存に有意差がみられた.同じChild分類Aで,HIV/HCV重複感染患者のなかで血小板数15万/μl未満の症例とHCV単独感染患者の症例と予後を比較したところ,HIV/HCV重複感染患者の予後は有意に不良であった.【考察】HIV/HCV重複感染患者はHCV単独感染患者よりも門脈亢進症進行例では予後不良で,Child分類Aでも肝移植待機リストへの登録を考慮しうると考えられた.