肝臓
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原著
肝炎ウイルス検査受診率向上には医療者による個別の意義の説明が有効である
堀江 弘子江口 有一郎中村 隆典水田 敏彦桑代 卓也岩本 英里古賀 さやか田代 貴也冨永 智香子黒木 茂高小野 尚文木下 淳本多 義昭駒田 富佐夫尾崎 岩太安西 慶三藤本 一眞江口 尚久
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2012 年 53 巻 10 号 p. 591-601

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抄録
佐賀県は肝がん粗死亡率全国一位が続いている.肝炎ウイルス検査の受診率向上は肝がん対策の最重要課題と捉え,当健診センターでは,検査の受検案内を積極的に行い,2年間で総受診者の約8割が受検した.今回,更なる受検率の向上のために,対象者に検査を「受ける意思」と「受けない理由」の要因を明らかにするアンケート及び共分散分析を行った(総数447人,検査の受診者:A群373人,不受診者:B群74人).A群の受検要因に,「佐賀県の肝がんの死亡率が高い」との情報提供と「慢性肝炎の早期治療での意義」の説明,「スタッフから検査案内」の検査意義の説明等が有効と判った.B群の不受検の理由には,「自分は大丈夫だろう」との認識と「治療に伴う経済的な負担」等が見出され,検査意義の理解不足や治療に伴う経済的な負担が推測された.ウイルス感染の意味と肝がん予防の健康教育,治療費助成制度の説明等は受検率の向上に寄与すると示唆された.
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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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