肝臓
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症例報告
PEG-IFNα2a+リバビリン療法施行中にB型慢性肝炎の急性増悪を起こしたB型C型重複感染の1例
宮田 央宮田 學工藤 正俊
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2012 年 53 巻 12 号 p. 846-852

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抄録

B型慢性肝炎とC型慢性肝炎の重複感染は我が国では比較的稀であるが,世界的にはB型慢性肝炎高侵淫地域が存在し,重複感染に対する治療が問題となる.IFN+リバビリン併用療法を施行した際,治療終了時かその後に,HBVの再活性化が起こったという報告は台湾などを中心に多数ある.しかし,併用療法中のB型慢性肝炎の急性増悪はほとんど報告されていない.今回我々は,治療前にはHBV-DNAが検出感度以下であったにもかかわらず,PEG-IFNα2a+リバビリン療法を施行中に,B型慢性肝炎の急性増悪をきたした1例を経験した.さらに本症例に対して,次回フレアが懸念されたためエンテカビル投与を開始し鎮静化が得られた.重複感染におけるウイルス動態およびHBV再活性化が起こった際の対処を考える上で示唆に富む症例と考えられた.

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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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