肝臓
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症例報告
肝細胞癌を合併した非線維化NASH及び遺伝子型Ae HBV起因B型慢性肝炎の1例
姜 貞憲瀧山 晃弘桜井 康雄松居 剛志金 俊文志田 勇人辻 邦彦児玉 芳尚安保 義恭篠原 敏也真口 宏介
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2012 年 53 巻 2 号 p. 90-100

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抄録
症例は70歳男性で,68歳時,後に肝過形成結節と診断された肝腫瘤精査目的で当院へ紹介された.HBV感染指標からB型肝炎ウイルス(HBV)遺伝子型Aeの持続感染による非活動性carrierと診断し,既往・生活歴と画像診断から非アルコール性脂肪性肝疾患の合併を疑った.経過観察から2年後,肝S6に直径20 mm大の新たな腫瘤性病変を認めたため血管造影CT等で精査を行い肝細胞癌(臨床病期II,肝障害度A)と診断,肝後区域切除術を施行した.手術標本に対する病理学的検討により,肝腫瘍は中分化型肝細胞癌病期II,非癌部肝はB型慢性肝炎(F1A1)及びBrunt分類grade 1, stage 0の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と診断した.
肝発癌を呈した遺伝子型Ae HBV起因B型慢性肝炎及び非線維化NASH併発症例の報告は稀であり,HBV感染及び非アルコール性感疾患の肝病態と肝細胞癌危険因子の関連を考察する上で興味深いと考える.
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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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