肝臓
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症例報告
原発性肝扁平上皮癌の1剖検例
道免 和文田中 博文春野 政虎藤原 弘明小林 家吉清島 保下田 慎治坂井 英隆
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キーワード: , 扁平上皮癌, 剖検, 診断
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2012 年 53 巻 3 号 p. 183-190

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抄録
症例は肝腫瘍が疑われ,近医より紹介された88歳女性.入院時に37℃台の発熱,白血球数14,960/μl ,CRP 10.57 mg/dl と炎症所見を認め,総ビリルビン0.42 mg/dl ,ALT 24 IU/l ,ALP 384 IU/l ,γGTP 109 IU/l ,アルブミン3.2 g/dl と胆道系酵素の上昇,低アルブミン血症を示した.HBs抗原,HCV抗体はいずれも陰性であった.腫瘍マーカーではAFP,CEAは正常範囲であったが,CA19-9は73.6 U/ml と軽度の上昇を認めた.造影CT検査では肝内に最大径6 cmの辺縁がリング状に濃染される低濃度腫瘤が多数認められた.胆嚢癌ならびに胆嚢癌の肝転移を疑い,保存的療法をおこなったが,肝不全により死亡した.剖検では主腫瘍の中心部は融解壊死を呈し,腫瘍部は角化を伴う原発性肝扁平上皮癌と診断された.背景肝は正常肝組織を示した.原発性肝扁平上皮癌は本邦では今までに7例の報告をみるに過ぎない極めて稀な疾患であり,考察を加え報告した.
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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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