抄録
症例は69歳男性.出生時より神経線維腫症1型(von Recklinghausen病)が発症していた.2006年5月より腹部膨満感を自覚し,症状が改善しないため8月当科受診.肝左葉に巨大な腫瘍を認め精査にて肝内胆管癌と診断した.同年9月血性腹水と貧血の進行を認めた.肝血管造影にて外側区域に大きく不均一な腫瘍濃染を認め,腫瘍破裂の可能性が考えられた.左肝動脈塞栓術を施行したところ,貧血の進行は止まったが肝腎機能悪化のため患者は死亡した.剖検の結果,肝腫瘍は中分化型肝内胆管癌であり,腫瘍壊死と脈管浸潤を伴い,両肺,肺門リンパ節,臓側胸膜,右腎,脾周囲脂肪織および両副腎に転移を認めた.神経線維腫症1型と肝内胆管癌の合併は稀である.