ファルマシア
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2型糖尿病患者におけるナトリウム貯留軽減にはPPARδ活性化が有効か?
田中 早織
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2017 年 53 巻 2 号 p. 174

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抄録
2型糖尿病患者において,ナトリウムの尿中排泄の低下が,併発する心疾患のリスクを増大することが報告されている.腎近位尿細管細胞に発現しているナトリウム-グルコース共役輸送体2(sodium-glucose cotransporter2:SGLT2)の阻害薬は,2型糖尿病患者での尿中への糖排泄を促し,血糖調節に有効である.しかし,糖尿病におけるナトリウム摂取とグルコース恒常性の相関については未だ十分な理解が得られていない.これまでに糖尿病モデルマウスにおいて,核内受容体PPARδの活性化が高血糖およびインスリン耐性を改善することなどが報告されている.本稿では,脂肪細胞のPPARδの活性化がSGLT2の阻害を介してナトリウム利尿とグルコース恒常性維持に重要な役割を果たしていることを示唆したZhaoらの研究結果を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Ekinci E. I. et al., Diabetes Care., 34, 703-709 (2011).
2) Matsushita Y. et al., Diabetes, 60, 960-968 (2011).
3) Zhao Y. et al., Cell Metab., 23, 699-711 (2016).
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© 2017 The Pharmaceutical Society of Japan
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