肝臓
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症例報告
術後12年目に切除しえた胃GIST肝転移の1例
上田 純志吉田 寛真々田 裕宏谷合 信彦吉岡 正人川野 陽一水口 義昭清水 哲也武田 幸樹内田 英二
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2012 年 53 巻 4 号 p. 225-230

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抄録
消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)の転移巣は肝臓が最も多く原発巣切除から2年以内に発生することが多い.今回,我々は術後12年目に切除しえた胃GIST肝転移と考えられた1例を経験した.症例は80歳男性.既往歴として12年前に胃粘膜下腫瘍に対して胃部分切除術を施行されていた.腹部CTにて肝右葉に75 mm大の辺縁不整,内部不均一な腫瘍を指摘された.造影超音波検査では動脈相にて腫瘍内に不規則に流入する血流を認め,Kupffer相では低エコー領域となった.転移性肝腫瘍,肝内胆管癌などが疑われ肝右葉切除術を施行した.病理所見にて腫瘍内部に紡錘形の核と細胞質を持つ細胞が不規則に索状を呈して増生しており,免疫染色にてc-kit,CD34陽性でありGISTの肝転移と診断された.12年前に施行された胃粘膜下腫瘍はGISTと推測され,本腫瘍は胃GIST肝転移であると考えられた.
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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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