抄録
【背景】Highly active anti-retroviral therapyによるHIVコントロールの改善により,HIV/HCV重複感染者の死亡の原因として,HCVによる肝疾患の割合が増加している.【目的】HIV/HCV重複感染者に肝予備能評価を含めた検査を行い,個々の患者の肝障害の程度を明らかにする.【方法】一般肝機能検査に加え,肝予備能評価,画像評価を施行.【結果】全例男性,血友病症例30例が対象.Child-Pugh分類Aが90%であったが,約40%の症例で予備能が低下.腹部CTでは,肝硬変を11例に認めた.【考察】今回の患者群では,一般肝機能は正常範囲内の症例が多いものの,約40%の患者で肝予備能が低下し,また画像上肝硬変を呈している症例を約30%に認めた.HIV/HCV重複感染者では,肝予備能も含め評価する事で,病期に合った適切な治療の選択に繋がると考える.