肝臓
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症例報告
閉塞性黄疸を伴った再発肝細胞癌に対し胆道ドレナージとソラフェニブが有効であった1例
相原 司飯田 洋也友松 宗史前田 晃宏別府 直仁吉江 秀範生田 真一木村 文彦柳 秀憲山中 若樹
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2013 年 54 巻 2 号 p. 128-134

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抄録

症例は70代男性.C型慢性肝炎合併.肝細胞癌に対し2003年10月から2010年9月までに4度の手術療法を施行後,肝十二指腸間膜リンパ節再発と胆管腫瘍栓による閉塞性黄疸が出現し,内視鏡的胆道ドレナージ術を施行.血清総ビリルビン(T-Bil)値がドレナージにより18.6 mg/dlから7.5 mg/dlに低下した後,腹部CTで腫瘍増大傾向を認め,黄疸発症前はChild-Pugh分類でAに相当し肝予備能は良好であったため,ソラフェニブを投与(800 mg/日)開始した.その後黄疸は改善し,ソラフェニブ投与3カ月で,腹部CT上リンパ節転移巣は縮小し,7カ月でAFPは10 ng/mlに減少し,腹部CTではmRECIST基準でPRとなり12カ月でRECIST,mRECIST基準ともにPRとなった.良好な肝予備能を背景とした肝に急性発症した閉塞性黄疸合併肝細胞癌症例において胆道ドレナージによる減黄が確認されれば,T-Bil値が適応基準外でもソラフェニブの投与を一律に排除すべきではない.

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© 2013 一般社団法人 日本肝臓学会
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