2015 年 56 巻 6 号 p. 280-288
症例は59歳,男性.C型肝炎にて加療中にS6の2 cm大の肝細胞癌(HCC)が発見され,マイクロ波凝固療法を他院にて施行したが肝内多発再発を認め当院に紹介となった.肝動脈化学塞栓療法,sorafenib,リザーバー肝動注化学療法(low-dose FP療法),肝動注化学療法(CDDP),S-1内服投与を繰り返し行うも腫瘍は増大傾向でAFP 84352 ng/ml,PIVKA-II 25700 mAU/mlまで腫瘍マーカーも上昇した.ペグインターフェロン(Peg-IFN)α-2a 180 μg週1回投与を開始しAFP,PIVKAIIとも低下傾向を示し,9カ月後にはAFP 368 ng/ml,PIVKAII 123 mAU/mlまで低下した.画像上も肝内腫瘍濃染の消失を認め,経過中に見られた肺転移もPeg-IFNα-2a治療開始11カ月後のCTでは消失した.しかし,S3の3 cm大のHCC再発を認めたため,肝左葉外側区域切除術を施行しAFP/PIVKAIIは正常化した.Peg-IFNα-2a単独投与を含む集学的治療が奏功した進行肝細胞癌の1例を経験した.