HIV感染者におけるHBV重複感染者についてHBVワクチンの有用性を含め検討を行った.HIV抗体陽性74例中HBs抗原陽性は8例あり,4例は自然経過でHBs抗原が陰性化したが4例は持続陽性化している.HBs抗原陰性66例のうち49例でHBs抗体およびHBc抗体の測定を行ったが,HBs抗体またはHBc抗体のいずれかが陽性の割合は63.3%で,HBV-DNAは測定を行った20例全例で検出感度以下であった.HBs抗体陰性例のうち8例にHBVワクチン(ビームゲン®)の3回接種を行い,6例でHBs抗体が陽転化した.HIV感染者において,HBV重複感染の予防目的に,HBVワクチン接種は積極的に推進していく必要があると考えられた.