2016 年 57 巻 8 号 p. 397-404
57歳男性.1994年に膵管内乳頭粘液性腺癌(T3N0M0)に対して膵頭十二指腸切除術を施行.近医にて無再発で経過をみられていた.2014年2月腹部超音波にて肝S4/8に3 cm大のhypoなSOLを指摘され紹介.血液検査では異常はなくHBsAg, anti-HCV陰性.肝dynamicCTの動脈相で内部は造影不良であるが辺縁は早期に濃染,門脈相で造影効果が遷延する腫瘍(5.2 cm)として描出された.PET-CTでは腫瘍にFDG集積(SUVmax 9.9)がみられたが,他臓器へのFDG集積はなかった.CEA 9.2 ng/ml,AFP 169.6 ng/ml, AFP-L3 89.6%と高値で,混合型肝癌を疑って肝切除術を施行した.Synaptophysin陽性,Chromogranin A陽性で,肝原発神経内分泌細胞癌と診断された.神経内分泌腫瘍は消化管や膵に多く,肝原発は稀であり報告する.