症例は77歳男性.右季肋部痛,肝障害の精査目的で入院した.肝炎ウイルスは陰性であった.腹部USで肝S2,S6に12 mm大の低エコー領域を認めたが,dynamic CTでの造影効果は明瞭ではなかった.MRIでは拡散強調画像で高信号を示していた.肝腫瘍生検を施行し,病理組織学的に小細胞癌と診断した.免疫染色ではchromogranin A,synaptophysin,CD56いずれも陽性であった.肝以外に原発が指摘できなかったため,肝原発小細胞癌と診断した.PS不良であったため,BSCの方針となった.皮膚紅潮や喘息様発作の症状を認め,尿5-HIAAが高値であったことからcarcinoid症候群と診断した.Carcinoid症候群を発症した肝原発小細胞癌は非常に稀であるため,文献的考察を加え報告する.