肝臓
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症例報告
Carcinoid症候群を発症した肝原発小細胞癌の一例
金田 義弘菱木 智中森 義典近藤 新平張 優美三村 秀樹池田 礼所 知加子川名 一朗中山 崇山中 正二前田 愼
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2017 年 58 巻 11 号 p. 632-638

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抄録

症例は77歳男性.右季肋部痛,肝障害の精査目的で入院した.肝炎ウイルスは陰性であった.腹部USで肝S2,S6に12 mm大の低エコー領域を認めたが,dynamic CTでの造影効果は明瞭ではなかった.MRIでは拡散強調画像で高信号を示していた.肝腫瘍生検を施行し,病理組織学的に小細胞癌と診断した.免疫染色ではchromogranin A,synaptophysin,CD56いずれも陽性であった.肝以外に原発が指摘できなかったため,肝原発小細胞癌と診断した.PS不良であったため,BSCの方針となった.皮膚紅潮や喘息様発作の症状を認め,尿5-HIAAが高値であったことからcarcinoid症候群と診断した.Carcinoid症候群を発症した肝原発小細胞癌は非常に稀であるため,文献的考察を加え報告する.

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© 2017 一般社団法人 日本肝臓学会
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