肝臓
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症例報告
集学的治療により救命し得たClostridium perfringensによる肝膿瘍の2例
久保 智洋河野 豊宮西 浩嗣石川 和真桜田 晃佐藤 昌則保木 寿文田村 文人田中 信悟高田 弘一小船 雅義加藤 淳二
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2017 年 58 巻 2 号 p. 105-114

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抄録

症例1は50歳男性.微熱,下痢,倦怠感と意識障害のため当科を紹介受診した.溶血,肝障害,腎障害を合併しており,膿瘍内容のグラム染色にてClostridium perfringens(以下C. perfringens)によるガス産生性肝膿瘍と考えられた.抗菌薬および透析,血漿交換,エンドトキシン吸着にて容態は改善し,第38病日に退院した.症例2は77歳女性.発熱,嘔吐と意識障害のため当科紹介受診した.溶血,肝障害,腎障害を合併しており,膿瘍内容のグラム染色にてC. perfringensによるガス産生性肝膿瘍と考えられた.集学的治療にて容態は改善し,第28病日に退院した.C. perfringensによる肝膿瘍は急激な経過をたどることが多く,死亡率が極めて高い.グラム染色による短時間での起因菌の推定により,集学的治療の早期介入が救命に寄与したものと考えられた.

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© 2017 一般社団法人 日本肝臓学会
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