肝臓
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原著
HBs抗原検査の偽陽性に関する検討―濃度別にみた判定困難例の頻度
道堯 浩二郎平岡 淳鶴田 美帆相引 利彦奥平 知成山子 泰加岩﨑 竜一朗壷内 栄治渡辺 崇夫吉田 理阿部 雅則二宮 朋之日浅 陽一
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2018 年 59 巻 11 号 p. 641-646

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抄録

HBs抗原の測定法が改良され検出感度が高くなっているが,HBs抗原低値陽性例では偽陽性が危惧される.偽陽性の疑われる例を判定困難例とし,HBs抗原濃度別の判定困難例の頻度を明らかにすることを目的とした.41,186検体を対象にHBs抗原を化学発光免疫測定法で測定し,後方視的に検討した.判定困難例の基準をHBc抗体,HBe抗原・抗体,HBV-DNAすべて陰性,後日採血された検体でHBs抗原が陰性,の全条件を満たす例とし,HBs抗原濃度別の判定困難例の頻度を検討した.HBs抗原は1,147検体(2.8%)で陽性であった.判定困難例は6検体で,HBs抗原濃度(IU/ml)は,全例0.05以上0.20未満であり,0.20以上例には基準を満たす例はなかった.以上より,HBs抗原低値陽性例は偽陽性の可能性に留意する必要があることが示唆された.

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© 2018 一般社団法人 日本肝臓学会
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