66歳,男性.5年前,当院で髄膜hemangiopericytoma(HPC)に対する頭蓋内腫瘍摘出術後.近医にて経過観察されていた.今回,腹部超音波検査で肝右葉に約15 cm大の腫瘤を認め,近医より当科紹介受診.画像検査にて肝右葉の巨大腫瘍と肝全体に同様の小腫瘍が無数に認められ,多発骨転移,肺転移を認めた.第14病日に施行した肝腫瘍生検では,異型が強い短紡錘形の腫瘍細胞が錯綜しながら増殖し,細胞密度が高く核分裂像多く,STAT6陽性,Ki-67陽性細胞を高率に認め,髄膜HPCの肝転移と診断した.第45病日,低血糖発作で再入院.腫瘍の産生する高分子IGF-IIによるものと考えられ,頻回の食事摂取とprednisolone内服にて低血糖症状は緩和された.124病日,病勢進行にて永眠された.髄膜HPCは稀で,低血糖を合併しやすく,切除後も高率に再発転移するため,長期間にわたる厳重な経過観察が必要である.