肝臓
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症例報告
MRIのR2*値とR2*mappingが診断の一助となった輸血後鉄過剰・肝ヘモクロマトーシスの一例
江藤 宏幸川辺 晃一葛西 豊高荻野 太郎村松 誠司中原 守康宮原 庸介伊藤 博
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2019 年 60 巻 12 号 p. 453-458

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抄録

症例は50歳代男性.再生不良性貧血と診断され,輸血依存状態であった.輸血療法開始2カ月後より肝機能障害が出現し,肝ヘモクロマトーシスが疑われた.血小板減少もあり,肝生検は出血リスクが高いと判断したため,MRI検査にて肝鉄沈着を評価した.R2*mappingで,肝実質はびまん性に高信号を呈し,平均R2*値が高値であったことから輸血後鉄過剰に伴う肝ヘモクロマトーシスと診断した.鉄キレート薬として経口デフェラシロクス導入後は肝機能障害が改善し,平均R2*値も低下した.

肝生検は侵襲性を伴うものであり,サンプリングエラーの課題もある.MRIによるR2*mappingとR2*値は肝生検に完全に置き換わるものではないが,非侵襲的に肝ヘモクロマトーシスを診断・評価ができる点で有用と考えられる.

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© 2019 一般社団法人 日本肝臓学会
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