48歳,男性.C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus,HCV)抗体陽性を指摘されていたが,抗ウイルス療法を受けていなかった.HCV-RNAは陽性で,HCV genotypeは2a型であった.切除不能肺扁平上皮癌に対して,ニボルマブ(3 mg/kg)を2週ごとに3回投与した.3回目投与から2週間後に血中肝酵素の上昇を認めた.肝生検組織所見よりC型慢性肝炎の急性増悪(新犬山分類F1/A2)と診断し,ソホスブビル・リバビリン併用療法を12週間施行した.投与直後より肝機能改善がみられ,終了後24週での持続的ウイルス陰性化が得られた.その後肝機能異常は認めていない.抗PD-1抗体製剤をC型慢性肝炎患者に使用した際,肝炎の急性増悪をきたすことがあり,肝機能障害が起きた場合は速やかに肝生検の実施などを検討し,病態を鑑別することが重要であると考えられた.