症例は73歳男性.肺の結節影の経過観察目的に撮影したCT検査で,肝両葉に多発する占拠性病変を指摘された.経皮的肝腫瘍生検を行ったが確定診断に至らず,腹腔鏡下肝腫瘍切除による組織採取にて肝血管肉腫と診断した.全身化学療法としてパクリタキセル療法を開始したが,1クール後の効果判定はPDであり,パゾパニブ療法に変更するも,PS不良のため治療開始後早期に中止となった.その後,緩和医療に移行し,初回化学療法開始後約4カ月で永眠された.肝血管肉腫の予後は不良であり,画像による正確な診断は容易ではないため,疑いのある症例に対しては,診断目的に腹腔鏡下腫瘍切除を試みることも選択肢であると考えられた.