肝臓
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症例報告
超音波エラストグラフィによる肝硬度高値が診断の端緒となった乳癌びまん性肝転移の1例
東浦 晶子西村 貴士吉田 昌弘西村 純子橋本 眞里子柴田 陽子藤原 葵由利 幸久高嶋 智之會澤 信弘池田 直人榎本 平之今村 美智子三好 康雄廣田 誠一飯島 尋子
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2021 年 62 巻 10 号 p. 647-655

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抄録

症例は70歳代女性.近医で多発骨転移を伴う乳癌と診断され当院紹介受診となった.パクリタキセル(PTX)による化学療法中にAST 201 U/L,ALT 35 U/LとAST優位のトランスアミラーゼ上昇を認めた.腹部超音波検査,腹部造影CT検査では異常所見は認めなかったため,PTXによる薬剤性肝障害を疑い薬剤の変更,中止をしたが肝機能障害は改善しなかった.超音波エラストグラフィによる肝硬度検査を施行したところ,TE(Transient elastography)39.1 kPa,VTQ(Virtual touch quantification)2.73 m/s,SWE(Shear wave elastography)2.54 m/sと著明な上昇を認め,肝生検を施行し,特殊型乳癌の1つである浸潤性小葉癌の肝転移と診断された.肝硬度が高値になる稀な原因として微小転移性肝癌があげられた.

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© 2021 一般社団法人 日本肝臓学会
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