肝臓
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症例報告
レンバチニブにより重篤な間質性肺炎をきたした肝細胞癌の一例
池田 有希上野 真行髙畠 弘行上西 陽介戸川 文子羽田 綾子眞野 俊史萱原 隆久守本 洋一水野 元夫
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2021 年 62 巻 11 号 p. 742-748

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抄録

症例は69歳男性.慢性閉塞性肺疾患の既往あり.肝動脈化学塞栓療法(TACE)不応の肝細胞癌に対してレンバチニブ12 mg/日を開始した.開始3週間後から易疲労感が出現し,減量や休薬を行いながら投与を継続したところ,開始2カ月後に著明な労作時呼吸困難と低酸素血症を認めた.胸部CT所見から間質性肺炎と診断し,入院治療を開始した.レンバチニブ中止後も呼吸状態はさらに悪化したが,プレドニゾロンの内服と高流量鼻カニュラ酸素療法により徐々に改善が得られた.退院から1年後,間質性肺炎の再燃をきたすことなくプレドニゾロンを中止できた.本症例から,レンバチニブが重篤な間質性肺炎を生じうることが示された.レンバチニブ投与中に易疲労感や労作時呼吸困難を認め,減量や休薬で改善が乏しい場合は本副作用を念頭に置く必要がある.また,レンバチニブによる間質性肺炎に対して副腎皮質ステロイドが有効である可能性が示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本肝臓学会
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