症例は50代の女性.30代でC型肝炎ウイルスへの感染を指摘されていたが治療に至らず,継続的な受診も行っていなかった.腹痛と意識消失を主訴に救急搬送され,脾動脈瘤破裂による出血性ショックと診断された.当院で脾動脈瘤塞栓術を施行し,術後経過は良好であった.外来にて直接作用型抗ウイルス薬を導入し,ウイルス学的著効を達成した.CT検査の普及により,脾動脈瘤の偶然の発見も増加していると報告されていて,今後本例のように肝臓以外の疾患での受診を契機に,ウイルス性肝炎や肝硬変の診断から治療に至る症例もある.C型肝炎の未治療者や未受検者,非認識受検者は国内に未だ数多く存在しており,脾動脈瘤に関する文献的考察と,新潟県で実施している肝炎患者の拾い上げの試みについても併せて記載し報告する.