症例は38歳,男性.肝機能障害にて当科を受診し,血液検査で肝酵素の上昇に加え,血清鉄,フェリチンの上昇を認めた.肝生検組織の鉄染色で肝細胞に鉄沈着を認めた.輸血や鉄剤での治療の既往はなく,HFE,HJV,HAMP,TfR2,SLC40A1の鉄代謝関連遺伝子検査を行い,TfR2のヘテロ接合型変異(c.1206c>M)を認めた.以上の結果からtype3遺伝性ヘモクロマトーシスと診断し,食生活の変更とともに定期的な瀉血療法を行ったところ,血清フェリチンは正常化し,肝機能は改善した.TfR2の変異による遺伝性ヘモクロマトーシスは常染色体劣性遺伝であり,通常はホモ接合型で発症する.本症例はTfR2のヘテロ接合型変異であったが,肉類の摂取量が多く,生活習慣が発症に寄与した可能性が示唆され,瀉血療法に加えて生活習慣の変更が鉄過剰の改善に有効であった.