肝臓
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原著
肝細胞癌に対するTACE予後予測における腫瘍因子についての検討
安井 利光足立 裕次郎佐竹 真青井 健司城 尚志垣田 成庸山田 幸則田淵 貴大片山 和宏
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2022 年 63 巻 4 号 p. 187-195

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抄録

肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓術(TACE)の術前予後予測因子を検討した.対象は2014年4月から2021年4月までに肝細胞癌に対しTACEを実施した連続症例106例.予後予測因子をCox比例ハザードモデルで検討したところ,単変量解析ではAlb,ALBIスコア,AFP,腫瘍数,Up-to-7が,多変量解析ではAlb(p=0.025),AFP(p=0.000),腫瘍数(p=0.000)が有意であった.次に腫瘍数と腫瘍径の選択的TACEの選別に対する関連についてROC曲線を用いて比較したところ,AUCは腫瘍数が0.754,腫瘍径が0.693と腫瘍数の方がAUCは高値であった.TACE予後予測因子として腫瘍径よりも腫瘍数が有用であり,腫瘍数がTACEの選択性に関連していることが理由の一つと考えられた.

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© 2022 一般社団法人 日本肝臓学会
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