2022 年 63 巻 4 号 p. 196-202
症例は89歳女性.C型慢性肝炎の経過観察中,腹部超音波検査で膵頭部周囲のリンパ節腫大を認め,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の診断に至った.リツキシマブを含む全身化学療法中に肝障害が増悪し,化学療法終了後も肝障害が遷延した.C型肝炎ウイルス(HCV)再活性化によるC型肝炎増悪と考え,Glecaprevir Hydrate,Pibrentasvirを8週間投与した.投与後,肝障害は速やかに改善し,Sustained Virological Response(SVR)12を達成した.以降,肝障害の再燃はなく,経過観察中である.C型慢性肝炎患者でも,B型慢性肝炎患者と同様,化学療法によるHCV再活性化,肝炎増悪をきたす可能性を常に念頭に置き,肝障害が遷延する場合には,肝炎増悪と考え,抗ウイルス治療を行う必要があることが示唆された.