肝臓
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症例報告
短期間で肝硬変へ陥ったアミオダロンによる薬物性肝障害の一例
小林 輝永井 英成向津 隆規毛利 州秀渡邉 剛吉峰 尚幸小林 康次郎荻野 悠松井 哲平大道 泰子和久井 紀貴籾山 浩一五十嵐 良典
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2022 年 63 巻 4 号 p. 203-210

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抄録

70歳台男性.患者は陳旧性心筋梗塞にて近医循環器内科へ通院していたが,20XX年に心室細動による心停止をきたし当院へ救急搬送され,救命の後に除細動器が埋め込まれ,さらに不整脈予防の目的で抗不整脈薬であるアミオダロンの内服が開始された.アミオダロン内服1年8カ月後に肝障害で当科へ紹介となり,腹部単純CT検査で肝臓の高吸収を認めたことから,アミオダロンによる薬物性肝障害と診断し休薬を勧めたが,代替薬がないことから継続投与となっていた.その2年後に肝硬変へ陥り腹水貯留の増悪を認めアミオダロンの内服を中止したが,その半年後に肝不全により死亡した.アミオダロンによる薬物性肝障害は,時に短期間で肝硬変へ進行する可能性があり,早期内服の中止やアミオダロンの血中濃度測定を行い,投与量の調整を随時検討することが重要であると考えられた.

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© 2022 一般社団法人 日本肝臓学会
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