肝臓
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特別寄稿
わが国におけるacute-on-chronic liver failure(ACLF)とその関連病態の診断基準
持田 智中山 伸朗寺井 崇二吉治 仁志清水 雅仁井戸 章雄井上 和明玄田 拓哉滝川 康裕高見 太郎加藤 直也阿部 雅則安部 隆三乾 あやの大平 弘正笠原 群生茶山 一彰長谷川 潔田中 篤
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2022 年 63 巻 5 号 p. 219-223

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抄録

厚生労働省研究班は「Child-Pughスコアが5~9点の代償性ないし非代償性肝硬変に,アルコール多飲,感染症,消化管出血,原疾患増悪などの増悪要因が加わって,28日以内に高度の肝機能異常に基づいて,プロトロンビン時間INRが1.5以上ないし同活性が40%以下で,総ビリルビン濃度が5.0 mg/dL以上を示す症例」をacute-on-chronic liver failure(ACLF)と診断し,肝,腎,脳,血液凝固,循環器,呼吸器の臓器機能障害を基に重症度を4段階に分類することを2018年に提案した.同研究班はこの診断基準(案)に準拠する症例とこれに関連する病態の症例の全国調査を実施し,2017~19年に発症した計501例の臨床像を解析した.その結果,同診断基準(案)は肝硬変症例の中で,特に予後不良の症例を囲い込むために有用であることが明らかになった.そこで,同(案)を正式な診断基準として,今後の診療と研究に用いることを決定した.

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© 2022 一般社団法人 日本肝臓学会
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