肝臓
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症例報告
持続性ペニシリン製剤単回筋注により速やかに治癒が得られた早期梅毒性肝炎の一例
小林 聖幸野村 貴子赤岩 譲扇喜 智寛扇喜 真紀石川 賀代小野 正文正木 勉
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2023 年 64 巻 4 号 p. 194-200

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抄録

症例は50歳代男性.全身倦怠感,皮膚掻痒感,褐色尿を主訴に受診し血液検査で総ビリルビンや肝胆道系酵素の上昇を認めた.肝炎ウイルスマーカーや自己抗体は陰性であった.第5病日に入院時はみられていなかった皮疹が四肢体幹に出現し,入院時の梅毒反応定性が陽性であったため,再度詳細に病歴を聴取したところ,入院2カ月前の性風俗産業利用歴が判明した.早期梅毒第2期及び早期梅毒性肝炎と診断したが,患者が近日中に転居予定で長期入院や頻回な外来通院は困難であったことから,2022年1月から本邦で使用可能となった早期梅毒には単回投与での治療が認められているベンジルペニシリンベンザチン水和物(BPB)筋注を用いた.皮疹や肝障害は速やかに改善し,梅毒は治癒した.本邦において早期梅毒性肝炎の治療にBPB筋注が用いられた報告はみられず,有効な治療法と考えられたため,文献学的考察を加えて報告する.

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© 2023 一般社団法人 日本肝臓学会
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