臨床研究においてデータの信頼性は重要であるが,データの品質管理体制が整っている観察研究は少ない.本研究ではC型肝炎ウイルス排除治療を行ったC型肝硬変症例を対象とした多施設共同観察研究の品質向上を目的として,研究事務局に品質管理担当者を配置し,クエリ内容や傾向を検討した.対象となる研究には2019年から2021年までに369症例が登録され,REDCapシステムによりデータ管理を行い,定期的に入力促進及びデータチェックを実施した.2020年から2021年までに発生した847クエリを「未入力」と「データ関連」に分類したところ,「未入力」が617クエリ,「データ関連」が230クエリであり,全クエリが解決された.半年毎のクエリ内容の推移は,「未入力」は減少傾向であったが,「データ関連」は残存した.品質管理担当者を配置することで,データの品質が向上し,観察研究の質の向上につながる可能性が示唆された.