肝臓
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各種肝疾患におけるT細胞の分布について
加登 康洋杉本 立甫鈴木 邦彦西邨 啓吾小林 健一杉岡 五郎武内 重五郎野々村 昭孝太田 五六森谷 修三
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1974 年 15 巻 6 号 p. 369-377

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抄録

各種肝疾患の末梢血T細胞の分布をみ,一部の症例において,末梢血T細胞の分布の推移,末梢血B細胞の分布を測定し,検討を加えた.対象は金沢大学第1内科の肝疾患52例,HBcarrier 6例,対照11例である.対照例11例の末梢血T細胞の分布の平均値は61±11%であった.急性肝炎HB陽性例,陰性例,慢性肝炎非活動型および代償性肝硬変のHB陰性例の末梢血T細胞分布と対照群との間には有意の差はみられなかったが,HB carrier, HB抗原陽性の慢性肝疾患患者の末梢血T細胞の分布は対照群に比し推計学上有意の差で低値を示した.また2例のHB抗原陽性非代償性肝硬変では,経過観察中末梢血T細胞の分布に変動がみられた.末梢血B細胞の分布には差がみられなかった.
以上より,末梢血T細胞の数的分布の低下という細胞性免疫異常は,HB抗原陽性例の肝病態と密接に関連していると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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