肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
肝障害時のケトン体代謝
そのGlucose Responseについて
兼重 順次藤井 信河野 宏
著者情報
キーワード: ケトン体, α-glycerophosphate
ジャーナル フリー

1974 年 15 巻 8 号 p. 455-462

詳細
抄録
肝障害時のケトン体代謝,とくにそのglucose responseを追求する目的で急性四塩化炭素中毒ラット(肝障害群)および対照ラット(対照群)について実験的研究を行ない,下記の結果を得た.
1) 肝障害群では対照群と異なり,glucose負荷後においても肝α-glycerophosphateの増加が認められなかった.
2) 肝mitochondriaのoxaloacetate濃度はglucose負荷後,対照群で約3倍に増加したのに対し肝障害群では逆に減少した.
3) 肝β-hydroxybutyrate/acetoacetate比はglucose負荷後,対照群で著明に減少したのに対し,肝障害群では有意の変動を認めず,したがって肝障害群ではglucose負荷後も脂肪酸酸化速度の抑制は認められなかった.
4) 以上の結果より,glucose負荷後,肝acetyl-CoAおよび肝ケトン体は対照群で著明に減少したのに対し,肝障害群では軽度の減少にとどまった.
著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
次の記事
feedback
Top