肝臓
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胆管上皮細胞の微細構造に関する研究特にその崩壊像について
関 孝一
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1975 年 16 巻 6 号 p. 341-362

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抄録

胆管上皮細胞の変性・崩壊所見を知る目的で,正常および各種肝・胆道疾患52例に肝生検を行い電顕下に検討した.
胆管上皮細胞の崩壊に至る退行性変化として,(1)基質が「暗調化」する変化と(2)「明調化」する変化の二種類の変化の存在を知り,その崩壊様式として,個々の胆管上皮細胞が崩壊する機序と胆管が全体的に崩壊する機序を追跡・確認した.個々の胆管上皮細胞の崩壊様式に(1a)「暗細胞」が縮小して胆管内腔に脱落する機序,(1b)「暗細胞」が基底膜側に崩壊する機序,(2a)「明細胞」が胆管内腔に脱落する機序,を追跡し,それぞれの機序における微細構造上の変化を明瞭にした.これらの変化はいずれも疾患特異性がなく,このうち(1a)が胆管上皮細胞の主な崩壊機序と考える.一方胆管全体の崩壊様式に,全体的に「暗調化」する機序を追跡しその微細構造上の変化について述べたが,全体的に「明調化」して崩壊する機序は追跡しえなかった.
小器官の変化については,原疾患や崩壊様式と関連づけうる様な特異な小器官の変化は認め得なかった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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