肝臓
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慢性肝疾患における肝の線維形成に関与する細胞の電顕的研究
岡上 武滝野 辰郎奥野 忠雄杉野 成小笠原 孟史高橋 示人
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1976 年 17 巻 11 号 p. 820-831

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抄録

一部の慢性肝炎・肝硬変では,Disse腔に存在する脂肪摂取細胞はその数を増し,脂肪摂取細胞の一部のものは脂肪滴様の空胞を除けば肝小葉内及び門脈域にみられる線維芽細胞にきわめて類似した超微形態学的特徽を示す.門脈域の線維形成には線維芽細胞が関与し,門脈域に存在する線維芽細胞の中には細胞質内に脂肪滴様の空胞を有し脂肪摂取細胞にきわめて類似した形態を示すものがある.したがって脂肪摂取細胞と線維芽細胞とは類似した機能を持つことが推定される.これらのことより肝小葉内の線維化には,脂肪摂取細胞が重要な役割をはたしていると考えられる.
増殖胆管系周囲の線維形成には線維芽細胞のほかに増殖胆管系上皮細胞も重要な役割をはたしているものと思われる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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