肝臓
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原発性肝線維肉腫の1剖検例
藤井 浩鹿岳 研岩佐 昇三好 正人
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1976 年 17 巻 11 号 p. 852-858

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抄録

36歳の女性で剖検の結果,原発性肝線維肉腫であった症例を報告した.患者は1ヵ月来の増強する上腹部痛を訴えて当院を訪れ,著明な肝腫大を指摘された,臨床的諸検査から胆管上皮性肝癌または転移性肝癌が疑われた.免疫化学療法を施行するも入院後5ヵ月半で,肝性昏睡にて死亡した.剖検上,肝は4,650gで,多数の白色の腫瘍結節が左右両葉にみられた.光顕的に腫瘍組織は異型性の強い紡錘形細胞の交錯した束状構造を示した.結合織の特殊染色にて,豊富な線維成分が腫瘍細胞の間に認められた.
本症例は剖検,特殊染色などによる検索にて確診された8例目の原発性肝線維肉腫の症例である.従来の報告例について若干の文献的考察を行なった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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